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ギアオイルもエンジンオイル同様、製品になる段階でベースオイルに添加剤が入る。
エンジンオイルとギアオイルの違いはそれぞれの役割を果たす環境が異なるという点にあるのは別の項で述べた通りだ。
エンジンオイルとギアオイルの違い
エンジンオイルはエンジンの近くに位置するため、高温にさらされる。スラッジ、カーボンを防がなくてはならないし、酸化劣化もギアオイルより早い。
一方のギアオイルはエンジンオイルのように高温にさらされるものではない。スラッジやカーボンに悩まされる事もない。だがエンジンには見られれないような高い極圧にさらされる事になる。LSDなどはそれが顕著になる。
そのため、質の悪いオイルを使うと走行に支障をきたす事になる。両者共に消泡作用は高くなければならないが、エンジンオイルは清浄作用も求められる事になる。
ギアオイルの添加剤に求められる性能
ギアオイルの添加剤には、極圧性能、そして減摩性能が求められるという事が分かるのではないか。
注意しなくてはならない点としては、マニュアルの場合だと摩擦が減れば良いという事はない点だ。
減摩性能が高ければ良いというわけではない
シンクロののブレーキ作用が薄れていくとギアの入りが悪くなってしまう。つまり、シンクロのコーチンやリングやツルツルになると同調作用が薄れてしまい、ギア鳴りを起こしてしまう。これはシフトアップ・ダウンが出来なくなってしまう。
シフトレバーを動かした時に重いを感じるのもこの感触のせいだ。これらの部位の円滑はミッションオイルの受け持ちではない。クラッチを切ればこれらの動きは確認する事が出来るので、体感してみると良いだろう。
また、走行中にギアが入りにくい原因はシンクロの容量不足とも言われている。そのため、オイルのせいという事ではない。
だがこれらの話は基本的にレースでの話であって、市街地、特に街乗りの範囲であればここまでのシフトアップを行うような人もそうそういないだろう。
添加剤の選び方
ではどのような添加剤を選ぶのが良いのかというと、オイル自体がすでにメーカーのおかげでバランス良く配合しているので、これにプラスして何が出来るのかという点で考えるべきだろう。
エンジンと同じように、新車の状態を維持したいと考えているのであれば清浄剤や消泡剤、抗劣化剤を中心に選ぶべきだろう。
消泡機能は重要
特に消泡機能はとても大切だ。油膜切れに対して貢献してくれるのがこの機能だからだ。
ギアの回転でオイルをケース内に撒き散らす事になるのだから、泡の出方はかなりのものだ。そのため、ギアに負担をかけるような走行をしているのであれば特にこの性能は大切だろう。
さらには極圧性能も考えてバランスよくミッションとデフを守るべきだろう。ショップの店員に相談してみるのも手だ。
LSDは非常に高温になる
LSDの場合、サーキット走行を行った後にデフに触ると高温になっている事に驚く。それこそ揚げ物料理でも出来てしまうのではないかと感じるほどだ。
高温のオイルは酸化劣化しやすい事もあるのでメンテの時期をしっかりと確認すべきだろう。だが、これも基本的にはサーキット走行であって、市街地での走りしかしないという人はそこまで敏感になるような事ではないのかもしれない。
ATFは専用の添加剤を
オートマの場合、専用の添加剤がある。そのため、間違えてマニュアル用の添加剤を入れないようにすべき点だけは注意が必要だろう。